法人破産:賃金や税金も払えない時には
手形が不渡りになった、取引先に支払うお金がない、従業員の賃金が支払えない、税金を滞納している等の事情が重なった場合、最終的に、破産の申立てをせざるを得ない場合があります。法律上は、民事再生や会社更生と言った、会社を存続させたまま、債務を存続させる手続きもありますが、税金や従業員賃金等の支払いが難しい場合には、基本的にはこれらの手続きをとることが難しく、破産せざるを得ないと言うことになります。
法人の破産について、弁護士が受任した場合、以後は支払先や従業員等の債権者とのやり取りは、弁護士が行うことになりますので、債権者からの取立がストップします。その後、弁護士が、会社の状態を整理して、裁判所に、破産申立てをすることになります。その際には、裁判所に予納金といって、数十万円から数百万円の支払が必要となります。
従って、いざ破産しようと思っても、ある程度、会社に余力があることが必要となりますが、状況によっては、弁護士が売掛金を回収したりすることもできますので、一度、お早めにご相談下さい。
破産申立を行うと、裁判所から破産管財人が選任されます。破産管財人は、破産申立をした会社の財産の管理及び処分をする権利を有しており、申立後は、この破産管財人により、会社を整理していくことになります。
この破産管財人は、裁判所に選任候補として登録されている弁護士から選任されます。従って、破産申立をする際には、破産管財人の経験をしている弁護士の方が、破産申立後の職務に精通していますので、よりスムーズに手続きを進められます。従って弁護士を探す際には、是非、「あなたは破産管財人をした経験がありますか。」と聞いて下さい。当事務所の代表弁護士は、破産管財人を、東京地方裁判所から拝命している経験を有しておりますが、その他の弁護士に依頼する際も、その経験のある弁護士に依頼した方が、スムーズな解決を図れます。
民事再生:債務を圧縮してやり直す
民事再生は、民事再生法に基づく裁判手続で、取引先への支払が難しい等の経済的に行き詰った法人について、会社債権者等の利害関係者の多数の同意の下に、その債務を圧縮して、再生計画を策定し、これを履行していくことにより、会社の事業の再建を図るものです。
民事再生の場合は、法人破産と異なり、法人自体は消滅しませんが、債務も全て消滅するわけではありません。しかし、再生計画の下、既存の債務を圧縮したり、分割払いなどをして、今後の会社存続を図ることができます。また、現在の経営者は、原則として、退陣する必要はないため、会社経営権を維持することができます。
ただし、不動産に抵当権などの担保権が付されている場合には、債権者は、再生手続外で、その行使が可能であるため、その担保権者の協力を取り付ける必要があります。
もっとも、裁判所から、民事再生の許可が出ても、裁判所が選任する再生委員によって、原則として3年から5年の間、会社の状況を厳しく監督されます。
その際に、再生計画に基づく支払いが遅滞すると、裁判所は、民事再生手続を取り消して、破産手続に移行することもありますので、慎重な計画を立てることが必要です。
従って、会社の経営状況が厳しくなってきた場合、まだ民事再生の手続が可能な余力のある状態で、ご依頼頂くことが大切です。
当事務所では、法人破産や法人再生に関して、それらの手続きが可能かの判断を、中小企業診断士も含め、多角的な視点から行っております。
まずはお早目に、ご相談下さい。